翻訳者の生活

サンクコストの囚人

ゲーム翻訳を生業にしている関係で、日常的にゲームをすることが増えました。家族からは、「ママ/妻はゲームばかりしている」と思われていたようですが、最近は「ゲームをしている=仕事」という認識に変わってきたようで良かったです。

さて、最近「サンクコスト」という言葉とお別れすることができたな、と感じています。

サンクコスト
投資、生産、消費などの経済行為に投じた固定費のうち、その経済行為を途中で中止、撤退、白紙にしたとしても、回収できない費用をさす。経済学の概念であり、「埋没費用」と訳される。個人の株式投資、企業の新規プロジェクト、政府の大型公共事業など広範な経済活動を継続するのか、それとも中止するのかを判断する際などに使われる。
本来、サンクコストは回収できない費用なので、将来の意思決定には影響しない。しかし一般に人間は投下額が大きいほど、もとを取り戻そうとする心理が働き、経済行為を中止できない傾向がある。

コトバンクより

私もかつては、「これだけ投資したんだから、これを活かして元を取らないと……!でも、頑張っても頑張っても成果が出ない。時間だけが過ぎていく……でも、投資した分を取り戻したい!努力を無駄にしたくない!」なんて思っていました。なんだか悪循環ですよね。

ところが、とあるコーチに出会い、マーケティングなどを学び、ふと気付いたんです。「投資した分野で回収する必要、ないよね?」と。

例えば私の場合、契約書翻訳講座を受講しました。でも、仕事は殆ど来ない……。絶対的な案件数以外にも、私自身の実力不足もあったとは思いますが、それまでの私だったら、元が取れるまで契約書翻訳にしがみついていたと思います。でも、偶然出会ったゲーム翻訳。そこには仕事がたくさんありましたし、自分にも合っていました。じゃあ、ゲーム翻訳で頑張って仕事をして元を取ればいいじゃん!と思ったんです。

私はたまたま、翻訳というフィールドで分野を変えただけでしたが、中国語という括りで見た場合、翻訳ではなく講師にシフトするとか、留学アドバイザーにシフトするとか。今自分が考えていることから、ちょっと意識を横にスライドするだけで、可能性は無限に広がるんだなあと感じました。

なにより、時間はお金では買えません。もしかしたら、「仕事が来ない」と悩んでいる間、意識をちょっと横にスライドすれば、サンクコストの呪縛から思い切って逃れていれば、その時間を使って稼げたかもしれません。

今でこそこんなことが言えますが、1年ほど前の私はサンクコストの囚人であり、一歩を踏み出すことにものすごく躊躇していたのです。結婚、出産前はそんなことなくて、むしろあれこれ考える前に行動しちゃえ!というタイプだったのですが……。「守り」に入っていたのでしょうね。

でも、過去に投資したけど活用できなかったことが無駄だったかと言うと、それも違いました。やってみたけどダメだった、ということも、全部自分のリソースになっています。失敗は怖いけど、失敗しないと見えないものも、実はたくさんありました。

チャンスを掴む「瞬発力」、サンクコストを断ち切る「思い切り」、幅広く物事を見る「柔軟性」……。フリーランスって、本当に色々なスキルが必要です。私もまだまだです。頑張らないと。

関連記事

  1. 翻訳者の生活

    翻訳は筋トレの如く

    20代の頃、筋トレにハマっていた時期がありました。といってもムキムキに…

  2. 翻訳者の生活

    フリーランスはラク?

    在宅で仕事をしていると言うと、ママ友などからは「楽でいいね~」と言われ…

アーカイブ

PAGE TOP